保険で銀歯を白くすることができる『CAD/CAM冠』の保険適用範囲が広がりました!
これまでCAD/CAM冠の大臼歯への保険適用は、条件付きで認められていましたが、2023年12月の改定により、すべての大臼歯に適用されるようになりました。また新たに、2024年6月の診療報酬改定でエンドクラウンが保険診療になりました。
これは、新しいCAD/CAM冠用の材料が保険に導入されたためです。今回の改定で何がどう変わったのか、保険でどこまでできるようになったのかを、詳しく紹介していきます。2024年6月から保険適用されたエンドクラウンについて追記しています。
2024年からCAD/CAM冠保険適用の何が変わる?
今回の改定により、CAD/CAM冠の適応範囲が広がり、保険で銀歯を白くすることができるようになりました。銀歯が目立つことが気になる方は必見です。
すべての歯にCAD/CAM冠が保険適用に
2023年12月1日の保険改定により、CAD/CAM冠用材料に新しく「CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)」が設けられました。
これまでの大臼歯用材料「CAD/CAM冠用材料(Ⅲ)」より新しい「CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)」は、強度があるため、すべての大臼歯に使用できるものです。
これによりすべての歯に、CAD/CAM冠を保険適用で入れられるようになりました。CAD/CAM冠の費用・詳細はこちらからご覧ください。
新たな保険改定の対象は奥歯
保険で白い被せ物を入れられるCAD/CAM冠ですが、これまで無条件で保険適用となるのは前歯から第二小臼歯(中央から数えて1~5番目の歯)でした。
第一大臼歯と第二大臼歯(6番目と7番目の歯)については、以下の条件を満たした場合のみCAD/CAM冠は保険適用となっていたのです。
- 第一大臼歯:上下左右の第二大臼歯がいずれも残存し、過度な咬合圧がかからない場合
- 第二大臼歯:金属アレルギーの方(医師の診断が必要です)
つまり、奥歯には保険適用でCAD/CAM冠を入れられないケースがあったのですが、2023年12年の改定によって、すべての奥歯がCAD/CAM冠の保険適用対象となりました。
奥歯への制限はCAD/CAM冠の強度不足のため
これまですべての奥歯にCAD/CAM冠を保険で入れられなかった理由は、CAD/CAM冠の強度でした。
ひとくちに奥歯といっても、無条件でCAD/CAM冠を入れられる小臼歯と、条件付きだった大臼歯では、噛み合わせたとき歯に掛かる力に大きな違いがあります。
大臼歯はその名のとおり、歯の中でとくに大きくて噛む力がとても強いのです。そのため、従来のCAD/CAM冠では強度が足りないケースがあり、保険適用に制限が設けられていました。
CAD/CAM冠用材料は各部位専用
保険適用でのCAD/CAM冠には「機能区分(クラス)」という基準があります。
これはCAD/CAM冠を入れる部位によって「小臼歯(Ⅰ・Ⅱ)」「大臼歯(Ⅲ)」「前歯(Ⅳ)」といったように使用できる材料を決めたものです。
保険でCAD/CAM冠を入れる場合には、部位用に決められた専用の歯科材料以外使うことはできません。
つまり、大臼歯に小臼歯用の(Ⅰ・Ⅱ)や前歯用の(Ⅳ)を使うようなことはできないのです。
CAD/CAM冠用 材料 | Ⅰ.Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ (2023年12月~) |
対応する部位 (他の部位への流用は不可) | 小臼歯 | 第一・第二大臼歯 (※条件付き) | 前歯 | すべての大臼歯 |
色数 | 5色~ | 3色~ | 4色~ | 1色のみ |
CAD/CAM冠用材料Ⅰ~Ⅳは複数のメーカーが製造しており、色数はメーカーごとに数色を展開しています。
CAD/CAM冠用材料Ⅴは、2024年1月現在、1社のみのメーカーが販売しており、色はアイボリーのみとなっています。
新旧CAD/CAM冠用材料では何が違う?
新しいCAD/CAM冠用材料は大臼歯専用
今回の改定で新たに保険適用が認められた「CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)」は、大臼歯専用です。
「CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)」の素材はPEEK(Poly Ether Ether Keton・ポリエーテルエーテルケトン)製です。
従来の大臼歯用だった「CAD/CAM冠用(Ⅲ)」の素材であるハイブリッドレジンより、「CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)」は高性能です。
そのため、第二大臼歯の有無や咬合の状態、金属アレルギーの有無などを問わず、「CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)」はすべての大臼歯に使うことができるようになったのです。
CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)の特性
PEEKの特性には、以下のようなものがあります。
高靭性
PEEKには力が加わったときに壊れにくい性質があります。そのため、噛んだときに大きな力が加わる大臼歯へのCAD/CAM冠用素材として適しているのです。
高い生体親和性
PEEKは、USP<88>クラスVI(米国薬局方クラスVI:生体適合性規格)に準拠しています。
これは医療機器用材料の分類基準の1つで、非経口製剤の容器などに使用されるプラスチック材料の安全性を判断する規格です。
ⅠからⅥのクラスがあるなかで、最も厳しい規格となっており、高い安全性と生体親和性を持っています。
低吸水性
歯科用材料に限らず、樹脂には吸水性があります。プラスチックのお弁当箱に色やニオイがついてしまう主な理由は、樹脂の吸水性によるものです。
PEEKも樹脂の一種ですが、吸水性が低いため、お口の中で長く安定した性能を保つことができます。
耐熱性
樹脂には熱を加えると変形しやすくなる性質がありますが、PEEKは高い耐熱性を持っているため、熱い食べ物や飲み物にふれても形状の精度を保つことができます。
CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)の被せ物は薄くできる
従来のCAD/CAM冠は、強度を保つために分厚く作る必要がありました。けれども強度の高いCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)なら、被せ物を薄くすることができます。
つまり、歯をたくさん削らなくてもCAD/CAM冠を作ることができるようになったということです。
これまでのCAD/CAM冠に比べると、歯をたくさん削らなくてもすむCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)は、より歯に優しい素材といえます。
エンドクラウンとは?(2024年6月保険適用)
エンドクラウンとは、CAD/CAM冠で咬合面を覆う被せ物の1つです。最大の特徴はポスト(歯の根に挿入する支柱のこと)を必要としないことです。そのため患者様にとって【歯質を削る量が少ない】というメリットがあります。
保険適用可で白い歯になるCAD/CAM冠は、多くの方が希望されていますが、噛み合せの状態によってCAD/CAM冠の厚みが取れず、冠が薄くなってしまい噛むと割れてしまう恐れのある方は、これまでCAD/CAM冠を断念していただいておりました。
2024年(令和6年)6月から保険の白い被せ物(CAD/CAM冠)の適応条件が一部緩和され、奥歯の白い被せ物エンドクラウンという大臼歯(ダイキュウシ)CAD/CAM冠も新規導入されました。
奥歯の白い被せ物CAD/CAM冠エンドクラウンは、CAD/CAM冠の厚みをもたせることができますので、CAD/CAM冠が割れにくく、難しいケースの方も検討できる可能性があります。
ただし、根管治療をした歯はできない、コア(土台)が入っている歯はできない…など保存のための処置が必要なケースでは適用できません。
CAD/CAM冠が適応できるか、難しいケースの方の審査も行っております。
一度、ご相談ください。
エンドクラウンが適している患者様
- 奥歯でスペースが少ない患者様
- 奥歯の歯の高さが不足している患者様
2024年はすべての歯がCAD/CAM冠保険適用に
2023年12月の改定で、新しく大臼歯用のCAD/CAM冠用材料(Ⅴ)が保険適用となりました。2024年6月の改定では、奥歯の歯の高さが不足している方やスペースが少ない方にもエンドクラウンで大臼歯用のCAD/CAMを適用できるようになりました。
これまで条件が合わずCAD/CAM冠を作ることができなかった大臼歯(親知らずも)をふくめ、すべての歯に保険適用でCAD/CAM冠を入れられるようになったのです。
なお、CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)はまだ導入されて日が浅いため、歯科医院によっては取り扱いがない場合もあります。
CAD/CAM冠のご相談はハッピーデンタルクリニックへ
すべての歯に対して保険適用されることになったCAD/CAM冠ですが、法的に適用可能であっても、患者様のお口の状態によって必ずしもCAD/CAM冠がベストではないこともあります。
たとえば、神経のある歯は厚みが取れない(たくさん削ることができない)ため神経を取ったり、対合歯をかなり削らないと技工的に作れないケースがあります。
2024年6月診療報酬改定の改定により、CAD/CAM冠が適応できる患者様の幅が広がりました。歯がすり減って短くなっていらっしゃる方は、CAD/CAM冠が薄くなってしまうため、割れやすく改定前は、CAD/CAM冠の使用を諦めて頂いてましたが、CAD/CAM冠が割れにくく、難しいケースの方も検討できる可能性があります。
ハッピーデンタルクリニックでは、患者様のご希望を伺ったうえで、最適な治療法をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
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